マネージャーがプロジェクトマネジメントを手放したらどうなるか? いま注目の「デタッチメント・ユニット」とは

2021.08.16

 

テクノロジーの進化とグローバル化のスピードが加速する現代において、企業のマネジメント層は、より専門性の高いスキルを有するメンバーを統率しながらプロジェクトを推進していくことが求められるようになりました。しかし、マネジメント層の約9割がプレイングマネージャーであり、プロジェクト管理にのみ特化した人材を確保するのは難しい状況が伺えます。

 

そこで近年注目されているのが、「デタッチメント・ユニット」です。

 

「デタッチメント・ユニット」は、プロジェクト全体のゴールだけを示し、そこへ進む道筋は各チームメンバー自らが立てて、進めていくやり方です。専門人材の活用が進むエンジニアの世界では、こうしたやり方が既に採用されています。

 

経営側や管理側としては、スケジュールやその進捗の見通しは立てたいものですが、どのようにして「手放しながら、管理する」という背反するニーズを埋めるのかについて、本コラムでは、軍隊の特殊部隊などで用いられているこの「デタッチメント・ユニット」の考え方をビジネスに応用し、適切にプロジェクトマネジメントを「手放す」方法を解説します。

 

 

●なぜ今、プロジェクトマネジメントを「手放す」ことが重要なのか?

リクルートワークス研究所が2019年に行った調査では、約9割のマネージャーがプレイングマネージャーであることが分かりました。自らもプレイヤーとして業務の最前線に立ちながら、メンバーの進捗管理や目標達成への主体的な関わりも促す役割も担っています。

 

この状況に対応するために、従来の画一的な目標設定による組織管理ではなく、より専門性の高い人材を適性に応じて配置し、一人ひとりに異なる役割を与える組織も増えています。

一見すると理にかなっているのですが、従来のトップダウン型のプロジェクトマネジメントでは、専門性の高いメンバーへ的確な指示を与え続けることが難しくなっているという課題が発生しているのが現状です。

 

そこで近年、プロジェクト全体のゴールだけを示し、そこへ進む道筋は各チームメンバー自らが立てて、進めていく「デタッチメント・ユニット」という組織管理の手法が注目されています。

この手法を使ってプロジェクトマネジメントを適切に「手放す」ことにより、マネージャーもより経営視点でのマネジメントに専念でき、メンバーの主体的な関わりを促すことができます。

 

 

●特殊部隊が取り入れる「デタッチメント・ユニット」型の管理で組織は強くなる

「デタッチメント・ユニット」とは、「デタッチメント=切り離された」、「ユニット=組織」という意味で、本来は『任務遂行の際に通信環境が使えないこと』(=細かな指示出しができないこと)を前提とした組織体系を指します。

 

例えば、軍事部隊に対して要人救出のミッションを与えられた場合を考えてみましょう。

 

「デタッチメント・ユニット」では、それぞれのプロセスにおける行動の道のりを事前にシミュレーションし、起こり得る想定外を可能な限り潰しておくことで、ミッションの成功確率を100%に近づけます。

移動手段、敵の制圧手段、救出後の安全な輸送手段など、ミッション遂行のために想定していくべきプロセスを洗い出し、「こうなったら、こうする」という様々なパターンを想定します。

 

この時に重要な点が大きく2つあります。

 

1つめが、「コースオブアクション」(=行動の道のり)の精度を高めること。そしてもう1つは、「エンドステート」(=最終状態)を正確かつ具体的に想起することです。

 

「コースオブアクション」の精度を高める

ビジネスにおいて、複数のメンバーや部署にまたがる業務は数多く存在します。

例えば、ウェブサービスの運営を例に上げると、コードを書いたり、サービスを運営したり、データを収集したり、顧客の声を集めたり、それらを分析したり、報告書にまとめたりと、多くの「バトンの受け渡し」によって成り立っていることがわかります。つまり、「バトンの受け渡し」をスムーズにすることが、出し戻しによるタイムロスや連携ミスを防ぐことに繋がると理解できます。

つまり、「コースオブアクション」(=行動の道のり)を言語化した上で、状況の変化に応じて行動計画を書き換えていくことが、「デタッチメント・ユニット」型の強い組織を作るために重要となります。

 

「エンドステートメント」を正確かつ具体的に想起する

そして、この行動計画の書き換えをマネージャーだけが行うのではなく、個々の判断によって行えるように重要なのが、エンドステート(最終状態)を正確かつ具体的に想起することです。

要人救出の例に戻ると、本来では武力を行使せず、交渉により救出することが求められていた場合でも、局面によってその場の判断を臨機応変に変えていかなければならないケースがあります。このとき、常に「リーダーならどう判断するか」「トップ(大統領や、経営者)ならどう判断するか」の視座の上げ下げを瞬時に行う必要があります。この判断を現場が迷いなく行えるように、最初にミッションを提示した際に「この状態になっていることが、最終的な理想形」という解像度を上げて伝えることが重要です。

 

 

●「コースオブアクション」(行動の道のり)の精度を上げるためにクラウドガントチャートを活用する

「デタッチメント・ユニット」型の強い組織を作るためには、まず「コースオブアクション」(=行動の道のり)を言語化、分析した上で、状況の変化に応じて行動計画を書き換えていくことが重要です。

では、実際にどのように言語化・分析をすればよいでしょうか。

そのためにオススメなのは、ツールを用いたタスクとスケジュールの可視化です。中でも、コースオブアクションとエンドステートを視覚的に捉えられるガントチャートを用いるのが最も効果的です。

 

ガントチャートとは、プロジェクト単位で必要なタスクとプロセス、スケジュールを一括管理できるツールです。クラウド型のガントチャートツールを使えば、「デタッチメント・ユニット」によるプロジェクト管理ができるようになります。

 

たとえば、クラウドガントチャートツール「シェアガント」では、クラウド上で複数メンバーが同時に操作することも可能なので、「コースオブアクション」の重要な要素であった「状況の変化に応じた行動計画の書き換え」をスムーズに行うことが可能です。また、タスクごとに担当メンバーの割り当ても行うことができます。タスクとその担当者が紐付けされ、タスクの前後関係が可視化されていることで、行動計画の書き換えが必要になった場合に相談すべき相手も明確化します。

従来であれば毎回のようにマネージャーの承認を得て、マネージャー経由でメンバーに計画変更と指示を伝えていたタイムロスも、メンバー同士でやりくりできるようになることで、スムーズな「バトンの受け渡し」が可能になります。

 

 

一方で、意思決定をメンバーに委ねる点においては、本当に期待した通りのアウトプットが出てくるのか、不安に感じるマネージャーの方もいるでしょう。そのため、細かく進捗管理をしたり、報告をさせたりしてしまいがちですが、それではメンバーの主体的な仕事への取り組みを促す「デタッチメント・ユニット」型の組織には遠くなってしまいます。

 

 

●メンバーに権限移譲し、安心して「手放す」ための「エンドステート(最終状態)の具体化」とは

では、どのようにすればマネージャーは安心してプロジェクトマネジメントを「手放す」ことができるのでしょうか。前章でも触れたとおり、エンドステート(最終状態)を正確かつ具体的に想起することが重要です。

 

レストランのスタッフであれば、エンドステート(最終状態)は「お客様が料理や、そのお店のサービスに満足した状態で帰ってもらうこと」だと仮定します。すると、厨房スタッフのエンドステート(最終状態)は「注文されたメニューを迅速かつ最高の味で調理・盛りつけすること」ですし、ホールスタッフは「お客様が料理を楽しんでいただけるように、最高の接客を行う」ということです。この「最高の味」「最高の接客」の解像度を上げていくためには、マネージャーも現場に最適化された視座ではなく、経営者に近い視座でエンドステート(最終状態)を具体化し、メンバーに伝えることが大切です。

 

クラウドガントチャートの「シェアガント」は、プロジェクトごとに「親タスク」「子タスク」の階層分けをマウスのドラッグ操作で簡単に行うことが可能です。マネージャーは、メンバーが立てた「コースオブアクション」を確認する際に、タスクごとの「エンドステート(最終状態)」がしっかりと具体化され、次のタスクの担当者にスムーズにバトンの受け渡しができるようになっているかを重点的に見ることで、その後は安心してメンバーに権限移譲し、プロジェクトマネジメントを「手放す」ことができるでしょう。

 

 

専門性の高いメンバーを率いるマネージャーの皆さんは、「シェアガント」などのクラウドガントチャートツールを活用し、この「デタッチメント・ユニット」の考え方に基づいた管理手法を導入してみてはいかがでしょうか。

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