プロジェクト管理における「記憶」の負担を軽減する方法

2021.08.16

 

「忘れずに記憶していること」「記憶したことを適切に伝えること」ビジネスの世界では、こうしたことが当たり前のこととして求められます。

 

記憶しておくべき情報が数えられるうちは問題ないのですが、次第にプロジェクトを成功に直結するような情報量は数え切れないほど増え続けることになります。

 

プロジェクトに関わる記憶を維持して、必要に応じて引き出しながら、メンバーとコミュニケーションする中で、情報をロストしないようにするために必要なコストが目に見えないほど膨大なので、それだけで多くのメンバーが消耗してしまうという事態が発生し得る危険性があります。

 

つまり、記憶をしておくこと事態が、負担の蓄積になっています。

 

この負担を軽減するためには、「情報を記憶する」「記憶を維持する」「維持した記憶を引き出す」という3つの行為を何かに置き換える必要があります。また、その手段として、メンバーが個々に持っているナレッジを引き出し、チームで効果的に共有し、いつでも引き出し可能な状態にする仕組み作りも重要です。この仕組みを作ることができれば、多くのプロジェクトメンバーが記憶する負担から解放され、メンバー間のコミュニケーションも円滑に進むようになります。

 

このコラムでは、情報(ナレッジ)共有やコミュニケーションを効果的に行うためのテクニックとおすすめのツールをご紹介します。

 

 

●プロジェクト管理における「記憶」は負担が大きい

情報化社会が進み、インターネットの普及やモバイル通信環境の整備により、私たちは場所や時間を選ばず、知りたい情報を簡単に手に入れることができるようになりました。一方で、SNSやその他の情報共有ツールの普及により、インターネット上には情報が溢れ、自分に必要な情報を整理して、記憶する必要のある情報も増え続けています。

 

あなたの職場でもプロジェクトを進めるために扱う情報が増え続け、記憶する負担は、人知れず大きくなっていると考えられます。

 

例えば、プロジェクトを進めるためのタスクに含まれている「期日」や「注意点」、「目的」、「要求される品質」などの情報は全て把握しておかなければいけません。

 

また、プロジェクトのリーダーは、それぞれのタスクを担当するメンバーのToDo項目も記憶し、必要に応じてリマインドする必要があります。

 

さらに、メンバー間でコミュニケーションを取る場合、一人でもタスクに必要な「前提知識」がない場合、その前提知識の説明から始める必要があります。その都度、いちいち記憶から情報を引き出し、一から分かるように噛み砕いて説明する負担は決して無視できるものではありません。

 

だからといって、記憶した必要な情報を無秩序にアウトプットしてしまうと、プロジェクトメンバーの中で、「何が必要な情報なのかわからない」という混乱を招く危険性もあります。

 

記憶が負担になる要因は、最終的なコミュニケーションに影響を及ぼすことにあるとも言えます。負担を軽減させるためには、記憶した情報をプロジェクトメンバー全員が「前提知識」として、当然のように持っている状態にすることが理想です。

 

 

■プロジェクト管理における「記憶」の負担を軽減するための3つのテクニック

記憶の負担は想定以上に重くのしかかり、メンバー一人ひとりの根性論のような努力で補えるものではありません。ここでポイントになるのは、いかに安心して忘れられて、かつ必要なときに引き出せる仕組みを作ることです。

このように書くと、難しいことのように感じるかもしれませんが、少し工夫を凝らすことで簡単に仕組みを作ることが可能です。

 

例えば、あなたがコーヒーチェーン店のスタッフだったとします。

あるお客さんから「カフェラテのミルクを、豆乳に変えてほしい」と注文された場合、暗記しているだけでは仕組みとして不十分です。

ここであなたが記憶する負担を軽減するためには、「ミルクではなく『豆乳』と書いた付箋紙を、その客へ提供するコーヒーカップに貼る」という一工夫をするだけで、あなたの記憶に依存せすにお客さんの注文に応じられる仕組みを作ることができます。

 

つまり、プロジェクト管理も同様で、記憶の負担を軽減するためには、仕組みを構築するテクニックを用いることが重要です。

 

ここでは、プロジェクト管理における「記憶」の負担を軽減するために、3つのテクニックをご紹介します。

1.  メモを取ることで、ワーキングメモリを解放する

まず、記憶の負担を軽減するために「メモ」を取ることが有効なのは言うまでもありません。メモを取る最大のメリットは、脳内の「ワーキングメモリ」の解放ができることです。

 

「ワーキングメモリ」とは、非常に短い時間で一時的に何かを記憶するための脳内の記憶領域のことです。ワーキングメモリの容量は限られており、情報が次々と入ってくると記憶を留めておけず、古い情報から抜けていってしまいます。

全てを記憶に頼ろうとすると、このワーキングメモリが常に満杯の状態になってしまい、作業の生産性が落ちてしまいます。

これが「記憶する負担」の大きな要因のひとつです。

 

つまり、ワーキングメモリの圧迫を軽減するために、まず記憶をメモに置き換えることで、安心して忘れられる仕組みをつくることが重要です。

 

2.  「リンク(手がかり)」をつくりながらメモを取る

効率的にメモを残すには、「リンク(手がかり)」を残すことが有効です。メモを取る目的やメモのとり方を変えるだけで、記憶の負担をグッと軽減することが可能です。

 

メモを取ることで記憶を定着させやすくなるというメリットはありますが、後で必要なときに必要な情報を引き出せないのであれば、メモの価値が半減してしまいます。ここで、あとから自分が情報を辿れるように、リンク(手がかり)をつくりながらメモを取る必要があります。

 

リンク(手がかり)とは、どこにメモをしたのか忘れたり、自分のメモした内容が後で理解できなかったりすることを防ぐための仕組みです。

例えば、メモを残す媒体を統一したり、メモを書くルールやフォーマットを統一したりすることで、どこを見れば良いのかを仕組み化することがポイントです。

万が一、リンクを辿って情報に到達できない場合でも、キーワードで検索して目的のメモを参照できるように、オンラインのツールを使うことも有効です。

 

3.メモをナレッジとしてチームで共有する

一人ひとりの記憶の負担を軽減した上で、プロジェクトのメンバーの間の情報共有をスムーズにする方法にもテクニックが存在します。

プロジェクトの場合、進捗が進む毎に記憶する必要のある情報は増え続けます。こういった「前提知識」の共有には、個々のメンバーが持っているナレッジをいかに効率的に共有するかが鍵となります。

 

ここで言うナレッジとは、主にチームメンバーが蓄積してきた情報のことを指します。

 

実は、個々に取るメモも「ナレッジ」の一つです。メンバーそれぞれが情報を整理し、リンクを構築したメモは、チームにとっても貴重なナレッジになります。

 

また、プロジェクトそのものに必要な前提知識は、元々、まとまって存在するものではなく、様々な経験を経て分析・整理・体系化されて形になる場合もあります。こういったプロセスを経て得られた前提知識が「ナレッジ」としてチームメンバーと共有されていれば、他のメンバーも同じプロセスを経る必要がなくなり、メンバー個々の工数の短縮と負担の軽減が期待できます。

 

メンバーがそれぞれ「メモを取るようにナレッジ共有する」ようになれば、プロジェクトに必要な前提知識が効率的に共有され、メンバー間のコミュニケーションも円滑に進みます。結果的に、節約できた工数で、もっと創造的なタスクに取り組むことが可能になります。

 

 

■「記憶の負担」を軽減するために役立つオンラインツール4種類とそれぞれのメリットとデメリット

1.  オンラインメモツール

オンラインメモツールは、シンプルさと手軽さが特徴の、個人がメモを取るのに最適なツールです。

 

  • メリット:シンプルさと手軽さが特徴で、自分だけのルールでメモを構成できる。
  • デメリット:個人的なルールによってメモが管理されるので、他のメンバーと共有して体系的に使うことには向いていない。

 

オンラインメモツールには、「Evernote」や「Google Keep」などがあります。

 

2.  ビジネスチャットツール

ビジネスチャットツールは、まるでリアルタイムに会話をしているように、テキストで円滑にコミュニケーションをすることができるツールです。

 

  • メリット:迅速な情報共有が可能。グループを作成してメンバー限定のチャットができたり、必要なメンバーを選んで通知を行い、円滑なコミュニケーションが展開できる。
  • デメリット:情報がどんどん流れていってしまって、蓄積されず、後で必要な情報を引き出すことには向いていない。

 

ビジネスチャットツールには、「Slack」や「Teams」などがあります。

 

3.  社内Wiki

業務マニュアルや議事録、ノウハウなどを、「ナレッジ」として社内で蓄積し、共有するためのツールです。

 

  • メリット:カテゴリやタグを付けて、体系的に文書を整理し、保存・共有できる。メンバーが能動的に情報を探しにいければ、初歩的な質問や説明などのコミュニケーションの負担を軽減できる。
  • デメリット:メンバーが積極的に情報を更新する必要がある。また積極的に探しにいかない限り、あまり価値が出せない。

 

社内Wikiには、「NotePM」や「Notion」などがあります。

 

4.  ガントチャートツール

プロジェクトのタスクが時系列でわかりやすく視覚化可能な、プロジェクト管理に特化したツール。

 

  • メリット:大きな粒度のタスクと、小さな粒度のサブタスクを一つの画面で管理・共有でき、プロジェクトの進捗をひと目で把握・共有できる。変化の多い流動的なプロジェクトにも対応しやすい。
  • デメリット:タスクの棚卸しルールなどによって、うまく使いこなせないと価値が出せない。

 

ガントチャートは、「スプレッドシート」などの表計算ソフトで作成する場合と、「シェアガント」などのクラウド型アプリで利用する場合があります。

 

■シェアガントを用いて、「記憶の負担」を軽減する方法

クラウドガントチャートアプリ「シェアガント」は、チャットや情報共有もできる、プロジェクトに特化したガントチャートアプリです。プロジェクトの基本となる「タスク・サブタスク」、「アサインメンバー」、「タスクの予定と進捗ステータス表示」などの情報を一つの画面上に一元化して表示可能で、この画面を元にメンバー間で円滑なコミュニケーションが行えるようになります。

 

 

シェアガントには、プロジェクト単位でグループチャットが可能で、プロジェクト内の迅速な情報共有も可能です。

 

 

また、プロジェクト単位でノートの共有も可能で、担当しているプロジェクトごとにナレッジの蓄積・共有も可能です。

 

 

シェアガントを用いることで「前提知識の共有」が効果的に行えれば、メンバー個々の記憶の負担を軽減でき、よりプロジェクトの本質的で創造的な部分に記憶領域(ワーキングメモリ)を使えるようになります。

 

プロジェクト管理における「記憶の負担」にお困りの方は、本記事で紹介した「記憶の負担を軽減する方法」を、クラウドガントチャートツール「シェアガント」で実践してみてはいかがでしょうか。

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