リモートワークの普及により、私たちの働き方は大きく変化しました。通勤のストレスから解放され、自分のペースで仕事を進められるという利点を実感している方も多いでしょう。しかし、その一方で「ついつい後回しにしてしまう」という、いわゆる「先延ばし癖」に頭を悩ませている方も少なくありません。

自宅という自由な環境では、知らず知らずのうちに集中力が低下し、仕事の優先順位を見失いがちです。仕事とプライベートの境界線が不明確になることで、「後でやればいいや」と考えてしまう機会が増えるかもしれません。

ただし、このような先延ばし癖は誰にでも起こりうることであり、克服するための方策も数多く存在します。本記事では、リモートワーク環境でも先延ばし癖を克服し、仕事の効率を向上させるための5つの具体的な方法をご紹介します。すぐに実践できるテクニックやツールを取り入れることで、徐々に生産性を高め、より充実した仕事ができるようサポートいたします。 リモートワークにおける課題を抱えている方が、この内容を通じて前向きな一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

先延ばし癖の原因とは？

リモートワークの高い自由度は、効率よく仕事を進めるための柔軟性をもたらします。しかし、同時に自己管理の難しさも浮き彫りになり、先延ばし癖を引き起こす要因となることがあります。ここでは、リモートワーク環境における代表的な先延ばしの原因を見ていきましょう。

1.孤立感と自己管理の難しさ

リモートワークでは一人で作業する時間が増えるため、同僚や上司との直接的なコミュニケーションが減少します。これにより、仕事の進捗状況を他社に確認してもらう機会が少なくなり、自分一人でスケジュールを管理する責任が重くのしかかります。この孤立感が、タスクを後回しにしてしまう一因となることが多いのです。

2.時間感覚のずれ

オフィスでは、決まった時間に出勤し、会議や休憩も一定のリズムで進行しますが、リモートワークではそのリズムが崩れがちです。自由度が高い分、仕事の優先順位を見失いがちになり、「もう少し後でやろう」という考えが思い浮かびやすくなります。これが積み重なると、気づいたときには締め切りが迫っているという状況に陥りやすくなります。

3.集中力を妨げる外部要因

自宅での作業は、家事やSNSなど、オフィスにはない多くの誘惑に囲まれています。これらは、知らず知らずのうちに仕事への集中力を削ぎ、タスクの進行を妨げます。特に、家族と共有するスペースでの作業や、プライベートな時間との区切りが不明確になると、先延ばしの原因となる可能性が高まります。

これらの要因を理解することで、自分の先延ばし癖がどこから生じているのかを把握し、次のステップで紹介する具体的な対策を講じることができます。続く章では、これらの原因に対処するための5つの方法を紹介します。

ステップ1: 目標の具体化

リモートワークで先延ばし癖を克服する第一歩は、目標を明確かつ具体的に設定することです。漠然とした目標では、どこから手をつけるべきかわからず、タスクを後回しにしがちです。具体的な目標設定は、仕事を進めるための道しるべとなり、達成感を得るための重要なステップとなります。

1. SMARTな目標設定

目標を立てるために、「SMART」フレームワークを活用しましょう。SMARTとは以下の5つの要素を指します：

• • Specific（具体的）: 何を達成するかを明確にする
  • Measurable（測定可能）: 進捗や結果が測定できるようにする
  • Achievable（達成可能）: 実現可能な範囲で目標を設定する
  • Relevant（関連性のある）: 目標が大きな目的やプロジェクトに関連していることを確認する
  • Time-bound（期限を設定）: 達成のタイムラインを明確にする。

これにより、目標が漠然としたものではなく、行動に移しやすい具体的なステップとなります。

2.プロジェクト管理ツールで進捗を可視化

目標を設定したら、その進捗を可視化することが重要です。ここで役立つのがプロジェクト管理ツールです。

例えば、プロジェクト管理ツール『シェアガント』は、プロジェクト運営やデジタル活用に不慣れな企業でも安心して導入できる設計が特徴で、特に中小企業やDX推進において課題を抱える企業に適しています。

特に、ガントチャートを使ったタスクの可視化が容易で、各タスクに期限を設定し進行状況をひと目で把握できるため、先延ばしを防ぎやすくなります。

『シェアガント』の強みは、単なるタスク管理だけでなく、職場の心理的安全性をサポートする点にあります。

DXの進展により、部下が上司のストレートな表現にストレスを感じたり、相手の意図が伝わりにくくなったりすることがありますが、シェアガントはそのような課題に対応するため、キャラクターによるサポート機能を備えています。

このキャラクターは、プロジェクトの進捗管理やタスクのリマインドを行うだけでなく、メンタルサポートやモチベーション向上にも貢献します。

ステップ2: タイムブロッキングを活用する

先延ばし癖を克服するもう一つの有効な方法は、「タイムブロッキング」という時間管理の手法を取り入れることです。リモートワーク環境では、自由な時間の使い方が可能な一方で、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。これが原因で、優先順位を見失い、気づいたときにはタスクが後回しにされてしまうこともあります。タイムブロッキングを活用することで、計画的に時間を管理し、仕事を効率よく進めることができます。

1.タイムブロッキングとは？

タイムブロッキングとは、あらかじめ1日のスケジュールを時間単位でブロック（区切り）し、各ブロックに特定のタスクや活動を割り当てる方法です。この方法を使うことで、特定の時間帯に特定のタスクに集中でき、他の活動に気を取られにくくなります。たとえば、午前中の1時間はメールの処理、次の2時間はプロジェクト作業、といった具合にブロックを設定します。

この手法を取り入れることで、タスクが後回しになるリスクを大幅に減らし、時間の使い方をより効率的に管理できます。

2.ツールを使ったタイムブロッキングの実践

タイムブロッキングは手書きのスケジュール帳でも実践できますが、リモートワークではデジタルツールを活用することでさらに効率的に行えます。例えば、GoogleカレンダーやOutlookなどのスケジュール管理アプリを使って、1日の予定を時間単位で可視化するのが有効です。 こうしたツールを使うと、他のデバイスとの連携やリマインダー機能を活用でき、スケジュール通りに行動しやすくなります。また、タスクの進捗状況もリアルタイムで把握できるため、計画の見直しや調整もスムーズに行えます。

3.集中力を高める時間のブロック方法

タイムブロッキングでは、作業の効率を最大限に引き出すために、自分が最も集中できる時間帯を見つけることが重要です。例えば、午前中に集中力が高い人は、その時間帯に最も重要なタスクを設定することで、仕事の質を向上させることができます。 さらに、連続して作業を行うだけでなく、休憩時間も計画に含めることが大切です。特に、長時間の集中は疲労やストレスの原因になりやすいため、短い休憩を挟むことで、長く生産性を維持できます。

4.タイムブロッキングの実践例

たとえば、以下のようなタイムブロックを設定することが考えられます：

• • 午前9:00～10:00: メール処理とチームとのコミュニケーション
  • 午前10:00～12:00: 重要なプロジェクト作業
  • 午後1:00～1:30: 昼食とリフレッシュ
  • 午後1:30～3:00: クライアント向け資料の作成
  • 午後3:00～4:00: 進捗の確認と次の日の準備

このように時間を区切ることで、1日の予定が明確になり、タスクを後回しにすることなく計画的に進めることができます。

ステップ3: 小さなタスクに分割する

大規模なプロジェクトや複雑な課題に直面すると、その全体像に圧倒されてついつい先送りしてしまいます。そこで有効なのが、タスクを小さな単位に分割し、一つ一つ段階を踏んで進めていく方法です。目標達成には、実現可能なステップに分け、着実に進めることが鍵となります。

1.タスクを分割する効果

大きな課題を複数の小さなタスクに分けると、心理的負担が軽減され、行動に移しやすくなります。例えば、1時間以内で完了できる小さなタスクに分割することで、取り組みやすくなり、達成感も得やすくなります。これにより、モチベーションが向上し、次のステップへ進むエネルギーが生まれます。

2.具体例: プロジェクトの細分化

クライアント向けレポート作成という大きなタスクを例に取ると、以下のように分割できます：

• • データ収集
  • 分析資料の作成
  • 章ごとの構成案作成
  • 各章のドラフト作成
  • 最終確認と修正

このように全体を小さな単位に分け、それぞれに期限を設定することで、進捗を確認しながら確実にゴールへと向かうことができます。

3.プロジェクト管理ツールの活用

タスクを分割する際に、プロジェクト管理ツールを活用するとさらに効率が上がります。例えば「シェアガント」を使えば、タスクを可視化し、各タスクの期限設定や進捗管理が可能です。タスク完了ごとにチェックを入れることで、達成を実感しやすく、モチベーション維持にも繋がります。

シェアガントのようなツールは、タスクの整理だけでなく、進捗をチーム全体で共有できるため、リモートワークでもスムーズに連携を図ることができます。小さなタスクを丁寧に管理し、プロジェクト全体の見通しを立てやすくすることで、先延ばしを防ぎ、着実に成果を上げることが可能です。

4.達成感を得ることで継続的に前進する

タスクを小さく分けることで、完了したときに達成感を得やすくなります。この達成感が次のタスクへのモチベーションとなります。少しずつでも前進している実感があれば、先延ばしを防ぎ、目標に向かって着実に進むことができるでしょう。

ステップ4: ポモドーロ・テクニックを使う

時間管理技法の中でも特に効果の高い方法として「ポモドーロ・テクニック」があります。このテクニックは、集中力を維持しつつ、効率よくタスクをこなすための方法で、先延ばし癖を克服する強力なツールとなります。

1.ポモドーロ・テクニックとは？

ポモドーロ・テクニックは、25分間の集中作業と5分間の休憩を繰り返す時間管理法です。作業と休憩を交互に取り入れることで、長時間の集中による疲労を防ぎ、持続して高いパフォーマンスを維持できます。25分という短い時間枠での取り組みにより、タスクへの心理的ハードルが下がり、着手しやすくなります。

2.ポモドーロの4ステップ

ポモドーロ・テクニックは、以下の4つの簡単なステップで実践できます：

STEP1.　タスクを決める:

まず最初に取り組むタスクを決めます。小さなタスクや明確な目標設定が効果的です。

STEP2.　タイマーを25分にセット:

タイマーをセットし、その間は他のことに気を取られずにタスクに集中します。

STEP3.　25分間集中して作業:

タイマーが鳴るまで集中して作業を続けます。この間は、メールやチャットを見ないなど、作業に集中できる環境を整えます。

STEP4.　5分間の休憩:

25分間の作業が終わったら、必ず5分間の休憩を取りましょう。軽く体を動かす、リフレッシュする時間を持ちます。

これを4回繰り返した後に、15〜30分程度の長めの休憩を取ります。こうすることで、脳をリフレッシュさせ、集中力を保ちながら長時間の作業が可能になります。

3.タイマーアプリの活用

ポモドーロ・テクニックの実践には、専用のタイマーアプリを活用するのも効果が高いです。「Pomodone」や「Focus To-Do」などのアプリは、ポモドーロのサイクルを自動管理してくれます。これにより、手動での時間計測の手間が省け、作業と休憩のサイクルに集中できます。 また、これらのアプリは進捗管理機能も備えており、完了したポモドーロ数を可視化できるため、達成感を得やすくなります。

4.短いセッションで先延ばしを防ぐ

25分という限られた時間内に集中してタスクに取り組むことで、「短時間でできること」を意識し、タスクへの心理的な抵抗を減らせます。大きなタスクもポモドーロのサイクルに従って小分けにすることで着手しやすくなり、先延ばしを防ぐことができます。 また、5分間の休憩を習慣として取り入れることで、集中力を維持しつつ、疲れにくい作業スタイルを構築できます。

ステップ5: 定期的なフィードバックとリフレクション

先延ばし癖を克服するには、日々の進捗を振り返り、自分の行動を客観的に見直すことが大切です。定期的にフィードバックを得たり、自分自身でリフレクション（振り返り）を行うことで、改善点に気付き、次に進むべき方向が明確になります。

1.フィードバックを得ることの重要性

リモートワークでは、他者と物理的な距離があるため、仕事の進捗や成果についてフィードバックを受ける機会が減りがちです。しかし、フィードバックは自分の進め方を客観的に見直す上で非常に重要です。 例えば、上司やチームメンバーからのフィードバックを習慣として求めることで、自分の進め方の改善点や予期せぬ課題に気づくことができます。また、外部からの評価を受けることで、モチベーション向上にも繋がります。

2.振り返りの実践

フィードバックと同様に、自己リフレクションを行うことも効果が高いです。1日の終わりや週ごとに、以下のポイントについて自分の行動を振り返る時間を作りましょう：

• • 今日/今週は何がうまくいったか
  • どんな点を改善する必要があるか
  • 次回の目標達成のために、どう行動すべきか

このように自己評価を行うことで、問題点や改善点に気付きやすくなり、次のタスクに向けた計画を立てやすくなります。

4.自己成長を促進するフィードバックの活用

フィードバックや振り返りは、単に現状を評価するだけでなく、自己成長を促す重要なステップです。フィードバックを受け入れ、改善点を明確にすることで、仕事の質を向上させ、次のステップへ進むための確実な道筋を立てられます。 定期的に振り返ることで、時間の使い方や先延ばししがちなタスクを把握し、改善策を講じることができるでしょう。

さいごに

リモートワークは多くの利点をもたらす一方で、自己管理の難しさから「先延ばし癖」に悩む方も少なくありません。しかし、この課題は適切なアプローチとツールを活用することで十分に克服可能です。効率よく仕事を進める方法は確かに存在するのです。

本記事で紹介した5つのステップは、リモートワーク環境ですぐに実践できるものばかりです。これらのアプローチに加え、プロジェクト管理ツールの活用はタスクの可視化や進捗管理をサポートし、心理的安全性の高い職場環境づくりに貢献します。ツールを上手に活用することで、リモートワークにおける生産性向上が期待できるでしょう。

これらの方法を一度に完璧に取り入れようとするのではなく、少しずつ試しながら自分に合った方法を見つけていくことが大切です。