業務分掌の基本と作り方|意味・メリット・規程の書き方を例文で解説

最終更新日: 2026.02.06

 

「業務分掌(ぎょうむぶんしょう)」という言葉を聞いて、「なんとなく分担のこと?」と思った方は多いのではないでしょうか。

 

しかしいざ自分が業務分掌の規程や表を作成する立場になると、「意味やメリット、どう作ればいいのか?」と迷ってしまうことも少なくありません。

 

特に中小企業では、「業務分掌=お堅い大企業の話」と思われがちですが、実はどんな規模の組織でも、明確な分掌があることでチームの生産性や心理的安全性が高まります。

 

本記事では、はじめて業務分掌に取り組む方にもわかりやすく、

  • 「業務分掌」の意味や使い方
  • 必要とされる背景やメリット・デメリット
  • 作成のステップや注意点
  • 実務に活用できるツールの例

などを、例文も交えながら丁寧に解説していきます。

 

これから業務分掌の見直しや導入を進めたいと考えている方に、役立つ内容をお届けします。

 

 

 

目次

■ 業務分掌とは?分掌の意味をやさしく解説

 

 

「分掌」とは?ビジネス用語としての意味


「分掌(ぶんしょう)」とは、役割や責任を分けて受け持つことを意味する言葉です。

 

ビジネスシーンでは、組織やチームにおいて、業務を明確に分けて、それぞれの担当者が責任をもって遂行することを指します。

 

たとえば、あるプロジェクトにおいて「営業」「商品企画」「広報」などの担当を決めることは、まさに「業務を分掌する」行為です。

 

 

「業務分掌」とは?組織で使われる場面


「業務分掌」とは、会社や組織の業務を、部門や担当者ごとに明確に分け、それぞれの責任や権限を定める仕組みのことです。

 

これはただの「業務の分担」とは違い、次のような目的があります。

  • 誰が、何の業務を、どこまで担当しているのかを明らかにする
  • 責任の所在を明確にし、業務の重複や漏れを防ぐ
  • 内部統制や不正防止の仕組みにもつながる

 

中小企業でも、組織が少しずつ大きくなってくると、こうした「業務の線引き」が曖昧なままではトラブルの元になります。

そのため、業務分掌は組織の健全な成長に欠かせない要素となります。

 

 

「職務分掌」との違いは?


「職務分掌(しょくむぶんしょう)」も似た言葉ですが、意味には微妙な違いがあります。

 

つまり、業務分掌は「部門単位」、職務分掌は「個人単位」での分け方と理解すると分かりやすいです。

 

 

「セグリゲーション(Segregation)」との違いも整理


「業務分掌」に似た用語で、「職務の分離(Segregation of Duties)」という言葉があります。

これは主に内部統制の文脈で使われる概念で、

  • 1人の社員が業務の全プロセスを担ってしまうと、不正やミスのリスクが高まる
  • それを防ぐため、重要な業務プロセスを複数人で分担する

という考え方です。

 

つまり「業務分掌」は組織全体の役割分担を示すものであり、「職務の分離」はリスク管理の観点からの分担と位置づけられます。

 

 

 

■ 「分掌する」の使い方・例文紹介

 

 

ビジネスシーンでの活用例


「分掌する」はあまり日常的には使われない言葉ですが、ビジネス文書や会議資料など、フォーマルな場面でよく使われます

以下に、よくある活用例をいくつかご紹介します。

 

 

例文①:役割分担の説明で

本プロジェクトにおける業務は、各部門が適切に分掌し、効率的な遂行を目指します。

 

 

例文②:社内規程の一文として

総務部は、施設管理および備品管理に関する業務を分掌する。

 

 

例文③:責任の明確化を伝える際に

トラブル発生時の対応責任については、該当部門が分掌するものとする。

 

 

このように、「分担する」「割り当てる」といった意味合いで使われるのが一般的です。

ただし、少し硬い表現なので、口頭では「役割を決める」「担当を振り分ける」などの言い換えを使うこともあります。

 

 

言い換え・類語にはどんなものがある?


「分掌する」は硬い表現のため、状況によっては次のような言葉で言い換えることができます。

 

 

たとえば、社内向けの研修資料などでは「分担」「振り分ける」といった表現の方が伝わりやすいケースもあります。

一方で、社内規程や文書化された業務分掌表などでは、「分掌」という表現がふさわしいでしょう。

 

 

 

■ なぜ業務分掌が必要なのか?

 

 

業務分掌は、「業務を明確に分ける」だけでなく、組織運営をスムーズかつ健全に行うための“土台”となる仕組みです。

この章では、業務分掌が求められる背景と、その主な目的を3つの観点から解説します。

 

 

内部統制の強化


業務分掌は、企業が「内部統制(社内のルールやチェック体制)」を整えるうえで、基本中の基本とも言える要素です。

 

たとえば、以下のようなケースが考えられます。

  • 経理担当者が入金処理から承認、会計仕訳まですべて1人で担当していた
  • 書類の承認権限があいまいで、誰が最終責任者なのか不明

こうした状況では、不正やミスのリスクが高まります。

そこで、業務分掌を行い「処理する人」「確認する人」「承認する人」といった役割を明確にすることで、牽制が働き、不正の抑止にもつながるのです。

 

 

属人化の防止と業務の見える化


「その仕事、○○さんにしかわからない…」

このような状態は、どの会社でも少なからずあるのではないでしょうか。

 

属人化(特定の人に業務が集中してしまう状態)は、引き継ぎの難しさや休暇時の対応の不備など、さまざまなリスクにつながります。

 

業務分掌を通じて、誰が・どの範囲を・どのように担当しているかを明文化することで、

  • 業務の流れが“見える化”され
  • 引き継ぎがしやすくなり
  • 組織の安定運営につながる

といった効果が得られます。

 

 

人材育成や評価制度との関係


業務分掌は、単に業務効率のためだけではなく、人材育成や人事評価制度との連動も期待できます。

 

たとえば、

  • 各自がどの業務を担っているのかが明確になる
  • その上で成果や責任を客観的に評価できる
  • 業務の幅や難易度に応じて育成計画を立てられる

といったように、組織的な成長にも貢献します。

 

また、明確な役割分担があることで、チーム内の納得感や安心感も生まれ、心理的安全性の向上にもつながります。

 

 

 

■ 業務分掌のメリットとデメリット

 

 

業務分掌は、組織を効率よく運営するうえで非常に有効な仕組みですが、一方で注意すべきデメリットも存在します

この章では、メリットとデメリットをそれぞれ具体的に見ていきましょう。

 

 

メリット①:責任と役割が明確になる


業務分掌を適切に行うことで、「誰が・何を・どこまでやるか」が明確になります。

 

この明確化によって、

  • 担当業務の境界がはっきりする
  • 責任の所在が明確になる
  • 判断や意思決定のスピードが上がる

といった効果が生まれます。特にトラブル発生時に、「誰が対応すべきか」が曖昧だと混乱を招くため、業務と責任の線引きは重要なポイントです。

 

 

メリット②:業務の効率化につながる


役割が整理されることで、業務の重複や抜け漏れが減り、結果的に全体の効率が上がります。

 

たとえば、

  • 複数の部門で同じような書類作成をしていた
  • 一部の社員にタスクが集中していた

といった事態を、分掌の見直しで最適化することが可能です。

 

また、属人化の解消引き継ぎの円滑化にもつながるため、長期的には組織のレジリエンス(しなやかな対応力)も高まります。

 

 

デメリット①:柔軟性が損なわれることも


一方で、業務分掌を厳密にしすぎると、「自分の仕事ではないからやらない」という風土が生まれる可能性があります。

 

本来はチームで協力すべき場面でも、

  • 役割の枠を超えた対応が難しくなる
  • イレギュラーな事態に弱くなる

といった事態が起こりやすくなります。

 

そのため、ある程度の柔軟性を持たせつつ運用する工夫が大切です。

 

 

デメリット②:責任転嫁の温床になる可能性


分掌があることで、逆に「これは自分の仕事ではない」として責任逃れが発生するリスクもあります。

 

たとえば、

  • 曖昧な表現の分掌が原因で、担当外と主張される
  • 責任を押し付け合うような文化が育ってしまう

というケースも見受けられます。

 

このような事態を防ぐには、

  • 分掌内容を定期的に見直す
  • 関係者で共通理解を持つ
  • 責任だけでなく“協力”も明文化する

といった、ルールの運用力が問われます。

 

 

 

■ 業務分掌の作り方ステップとコツ

 

 

業務分掌は、ただ役割を割り振るだけでは意味がありません。

組織の実態に即し、関係者が納得できる形で設計・運用することが重要です。

 

ここでは、初めて業務分掌を作成する方にもわかりやすいように、4つのステップで解説します。

 

 

STEP1.現状の業務棚卸し


まず最初に行うのは、現状の業務を洗い出すこと(業務棚卸し)です。

  • どんな業務があるのか
  • 誰が担当しているのか
  • どこに業務の偏りや抜け漏れがあるのか

これらを一覧にすることで、全体像が見える化され、改善のヒントが得られます。

 

ポイントは、「人」ではなく「業務」ベースで整理すること。属人化している業務こそ、分掌見直しのチャンスです。

 

 

STEP2.担当者・部門ごとの役割を明確化


次に、洗い出した業務を適切な部門・担当者ごとに割り当てていきます

 

ここで重要なのは、

  • 業務範囲を曖昧にせず、できるだけ具体的に書く
  • 複数部門にまたがる業務は、主担当と補助担当を明記する
  • 「責任者」と「実施者」を分けて定義する

など、「誰が最終的に責任を持つのか」が明確になるような割り振りが求められます。

 

 

STEP3.分掌表や規程として文書化する


役割分担が整理できたら、それを分掌表や「業務分掌規程」として文書化します。

文書化の目的は、「全員が共通認識を持てる状態」にすることです。

 

表形式や規程形式など、社内ルールに応じたフォーマットで作成し、部署単位・業務単位でわかりやすくまとめることが大切です。

 

 

STEP4.社内で共有し、定期的に見直す


最後のステップは、社内での共有と、定期的な見直しです。

  • 朝礼やミーティングでの紹介
  • 社内ポータルや共有フォルダへの掲載
  • 半年〜1年ごとのアップデート

など、実際に活用される運用体制を整えることがポイントです。

 

業務分掌は一度作って終わりではなく、組織や業務内容の変化に応じて柔軟に更新していくもの。

「分掌を作っただけで満足しない」ことが成功のコツです。

 

 

 

■ 分掌管理に役立つツールの紹介

 

 

業務分掌は「作って終わり」ではなく、日々の実務に活かしてこそ価値があります

 

しかし、実際の現場では──

  • 表計算ソフトで分掌表を作ったけど更新が面倒
  • 担当者が変わっても反映されていない
  • 分掌はあるけど現場で機能していない

こうした声もよく耳にします。

 

そこでおすすめなのが、プロジェクト管理ツールの活用です。

 

 

表計算ソフトだけでは限界がある


Excelやスプレッドシートで業務分掌表を作ることは可能ですが、

  • リアルタイム更新が難しい
  • 担当範囲や進捗状況の把握に手間がかかる
  • メンバー間での共有・連携がしづらい

といった課題が発生しやすく、実務ではなかなか活用しきれないというケースも少なくありません。

 

 

プロジェクト管理ツール「シェアガント」での実現例


「シェアガント」は、心理的安全性を大切にしたプロジェクト管理ツールです。

シンプルな操作で、業務の担当範囲や進捗を“見える化”でき、業務分掌の管理にも最適です。

 

 

業務分掌を活用するシーンの一例:

  • ガントチャートで、各担当のスケジュールとタスクを一覧化
  • カンバン表示で、「誰が・何を・いつまでに」やるかを直感的に把握
  • キャラクター機能が、タスクの遅延や対応漏れをやわらかく通知
  • Slack連携やDMで、分掌に基づいたスムーズなコミュニケーションも

特に中小企業やプロジェクト管理に不慣れなチームでも、やさしいUIとキャラクターによるサポートで安心して使えるのが特長です。

 

 

 

■ よくある質問(FAQ)

 

 

Q1. 業務分掌は誰が決めるの?


最終的な責任は経営層や管理部門が担いますが、現場の意見を反映することが重要です。

通常は、総務や人事、経営企画などの部署が中心となり、

  • 各部門からヒアリングを行う
  • 実態に即した分掌案を作成する
  • 経営陣の承認を経て決定・運用

といった流れで策定されます。

 

トップダウンだけでなく、現場の実情や声を反映するボトムアップ型の姿勢も、スムーズな導入には欠かせません。

 

 

Q2. どんな企業に業務分掌は必要?


すべての企業・組織にとって有効です。

特に以下のような状況がある企業では、業務分掌の見直しが効果的です。

  • 人数や部門が増えて、業務の分担が曖昧になってきた
  • 業務の属人化が進み、引き継ぎが困難になっている
  • トラブルやミスが増えてきた
  • 内部統制やコンプライアンス強化が求められている

小規模な組織でも、誰が何をしているかを明文化するだけで、業務の安定性がぐっと上がります。

 

 

Q3. 定期的な見直しは必要?


はい。業務分掌は“生きたルール”として、定期的に見直すことが重要です。

業務内容や組織体制は時間とともに変化します。そのため、

  • 少なくとも年に1回程度
  • 異動や組織改編のタイミング
  • 新しいプロジェクトや業務が始まったとき

などに合わせて、最新の状態にアップデートすることが推奨されます。

 

更新が滞ると、「実態と合っていない分掌表」になり、逆に混乱の原因となることも。

定期的な棚卸しと見直しの習慣化が、組織の柔軟性を支えます。

 

 

 

■ まとめ|分掌の意味を理解し、組織運営を効率化しよう

 

 

「業務分掌」は、ただの業務の分け方ではなく、**組織が健全に機能し続けるための“設計図”**のようなものです。

 

本記事では、以下のようなポイントを解説してきました:

  • 「分掌」の意味や使い方、職務分掌・セグリゲーションとの違い
  • 業務分掌が必要とされる背景(内部統制・属人化防止・人材育成)
  • メリットとデメリットを理解し、バランスよく運用することの大切さ
  • 作成ステップ(業務棚卸し → 割り振り → 文書化 → 運用)
  • ツールを活用した実務への落とし込み方

 

はじめは難しく感じるかもしれませんが、分掌を適切に行うことで、仕事の属人化や連携不足を防ぎ、チームの安心感や自律性を育てることができます。

 

特に中小企業やプロジェクト管理に不慣れな現場では、表計算ソフトだけでの管理に限界を感じることもあります。

 

そんなときは、やさしい操作性と心理的安全性に配慮されたプロジェクト管理ツール「シェアガント」のようなツールを活用するのもおすすめです。

 

業務分掌は、一度整えることでその後の業務効率・組織力・人材育成のすべてに良い影響をもたらします。

「業務の整理」から一歩踏み出して、「組織の力を最大化する」ために、今日からできる見直しを始めてみてください。

 

 

 

成功するリモートワーク
ダウンロード
仕事の全てをガントでシェア
シェアガントを始める